注文住宅の相見積の実例

家づくりを計画している方は必見です。
ハウスメーカー３社から、相見積を取ったときの実例をご紹介します。

他では、なかなか得られない資料です。
ぜひ家づくりのご参考にしてください。

まず、各社から提出された見積書をご覧ください。

A社の見積書

 

A社見積書の解説

付帯工事費の中に「エコキュート工事費」という項目があります。
お湯を使わない生活などあり得ませんから、本来なら「本体工事費」に含まれているべき項目です。

諸費用の中に「実施設計料」という項目があります。
設計せずに家を建てることはできません。本来なら「本体工事費」に含まれているべき項目です。

建物本体工事のところで、740万円もの訳のわからない値引きがあります。

つまり、この見積書は「建物本体工事」を安く見せようという意図で作成されていることが伺えます。

 

B社の見積書

 

B社見積書の解説

家づくりに必要になるであろう、ほぼすべての費用が挙げられています。
ご丁寧に、地鎮祭の費用として5万円が計上されています。

あまり作為を感じない、正直な見積だと思います。

 

C社の見積書

 

C社見積書の解説

左下の方にある「ご契約金額」というのが、この会社と交わす契約金額ということになるのですが、
それとは別に、右上の「工事に関する費用」という欄で、
基礎補強工事、外構工事、解体工事などの項目が計上されています。

それらの工事をこの会社では請け負わないのでしょうか？

また、右下の「土地費用・その他」の欄に「エコキュート補助金」という項目があります。
エコキュートの補助金は誰もがもらえる訳ではなく、
先着順なので、もらえない場合が多々あります。

しかし、もう既にもらえることになっているのは妙です。

 

このように相見積を取ると、各社それぞれの思惑で、バラバラなスタイルの見積書が提出されます。
更に、各社プランも違えば、仕様も違います。
これでは、どこが高いのか安いのか、全く分かりません。

実際にこの相見積を取られた方は、総合計の最も安い、A社が第一候補でした。

私はこの方から、各社の見積査定の依頼を受け、 同じ書式で比較できるように書き直しました。
平面図と立面図、仕様書を元に、私が３社の見積をして、
各社いくらの提示金額であれば妥当なのかを算出したのです。

それをまとめたのが、次の一覧表です。
見積比較表
一覧表の中にある「基準見積」というのが、私が見積もった金額です。
「提出見積」もりというのが、それぞれの住宅会社が提出してきた見積金額です。

このような形で比較すれば、はっきり判断することができます。

私の比較表で分かったコトは、
第一候補だったA社は私の見積より110万円も高く、
逆に、B社は30万円安いことです。

必然的に第一候補はB社になりました。

ですから、110万円も高い買い物をさせられるところ、
逆に30万円安い買い物ができるようになったことになります。

もし、B社の現状の金額が予算オーバーであれば、
予算に合うように、B社でプランや仕様を変更してもらえば良いのです。

注目なのは、A社の見積を見ると、744万円という、
常識では考えられない値引きをしています。

実は以前、私が工務店に勤めていたときに、
あるお客さんを巡って、Mホームと競合した事がありました。
その際、今回と全く同じような値引きをしてきました。

結局その方は、その値引きに惹かれMホームと契約したのですが、
最終的には、当初の予算よりも1000万円オーバーになってしまったようです。

（私が書いた小冊子「もうこれでだまされない！」の中で、 この逸話を詳しく書いています。）

今回の依頼者が、仮にA社と契約すれば、値引きした分は、契約後に必ず回収されます。

　

住宅の見積を判断するのはひじょうに難しいです。
表面的なことだけでは分からないことが沢山あります。
ぜひ慎重に判断してください。

なお、このページに掲載した見積書のPDFデータを下記よりダウンロードできます。

 

A社の見積書　209KB

 

B社の見積書　228KB

 

C社の見積書　239KB

 

3社の見積価格比較表　109KB